宣伝と見た目とペット石

世の中、毎日数えきれない数の商品が販売されています。大量生産やインターネットなどのお陰で、様々の商品が安い値段で購入できるようになってきています。商品の数や種類も急激に増えてきて、同じ機能を持つ商品だけでも10個、20個あっても可笑しくありません。

競争が激しい現代の市場では売り手がますますきつくなるのです。ライバルが多いため、もうはや質だけで勝負することがなくなり、商品の見た目や宣伝こそが重要になります。

さて、僕の大好物であるチョコレートバーを例にしましょう。アメリカのスーパーのチョコレートのコーナーに行ってみますと、棚に甘いチョコレートのバーが20種類もずらっと並んでいます。場所によってその2倍あります。しかし、それぞれのパッケージの裏を見てみると、入ってる材料が大体同じだってことが分かります。「◯◯で作られた特性のチョコレート」「オーガニックのチョコレート」「フリートレードのチョコレート」など色々あるのですが、こういった特徴は味にほぼ影響を与えません。

確かにバーの材料の割合と形(薄さとか)で味がだいぶ変わります。かと言って、売れる要素としては商品の見た目(パッケージの色、デザイン、説明文)の方がよっぽど大きいと思います。

お洋服も全く同じです。主に使われる布はいくつかしかなくて、デザインも斬新と言えるものは少ないです。Tシャツの販売で大事なのはまさに「雰囲気作り」なんです。「我が社の服を着るとかっこ良く見える」「弊社は歴史のある、信用できる会社なんです」というメッセージが観客に伝わらなければ売れません。有名人がその服を来てるところを目撃されると売り上げがあがることもあります。

とあるブランドのお店に入ると、露出の多い服を来てる若者たちが海でいちゃいちゃしてる写真が壁に堂々とかかっています。この宣伝の目的ははっきり言って、「我々の服を買うと性的欲求が満たされます」という意味に違いないです。ちなみにこの現象を英語で「sex sells」って言います。

もう一つ例をあげましょう。70代に宣伝幹部だったアメリカ人が「pet rock」という商品を発明して売り出してお金持ちになったらしいです。商品の内容はどこにでもある、普通の石と「ペット石の育て方」という説明書だけでした。信じられないかもしれない本当の話です。

僕の本業はIT系ですが、たまにものを作成して売ろうとしています。そして実際の物作りの他に(宣伝も含んで)いわゆる「マーケティング」にも力を入れるべきだと分かっていつもがっかりします。

仮にあなたは、好きな分野で理想的とされる商品を作れるとしたら、いっさい宣伝なしでどれだけ売れると思いますか?